親父オブオカソン
親父について語る。どーん!
先月親父が還暦を迎えた。
もうそんな年齢になったんかと驚いた。と共に嬉しさも感じた。めでたいことですからね。
僕の家族は5人兄弟、7人家族と多め。
5人の子供を育て、養うのにどれだけの苦労があったのかと思うと感謝の気持ちが溢れる。
そんな感謝の気持ちを込めて、年長者の姉主催の親父還暦パーティーが開かれた。
家族の仲が良いので定期的に集まるのだが、みんなが社会人になってからは全員集まることが中々難しかった。
だから僕はとても楽しみにしていた。
姉発案で親父へのビデオレターを撮ることになった。
内容は「親父との思い出を30秒ほどで語る」という僕の案が通った。
これは我ながら良い案だったと思う。
子供の頃親父とどんなことがあったかなあ、と暇な時に考えるのが楽しかった。
まず初めに四男が兄弟LINEに完成した動画を送ってきた。
小さい頃よくイズミヤのゲームセンターでNARUTOのカードゲームをやらせてもらったエピソードを話していた。
その時に親父が「お金もないのにNARUTOです♪はい!はい!はいはいはい!」とあるある探検隊のリズムで言っていた、という思い出だった。
このエピソードは僕も覚えていて懐かしかった。
そして文章では伝わらないと思うがめちゃくちゃ動画がおもろかった。
この瞬間動画大喜利が始まったのである
僕は親父との思い出を箇条書きにして、その中で面白そうなものを30秒で発表するスタイルにした。
・車の窓に手挟んで痛みを取るために指全部舐められて気持ち悪かった
・店で名前大声で呼ばれて恥ずかしかった
・団地の祭りで大人の力を使って輪投げで景品取らしてくれた
・散髪屋で刈り上げ勝手に注文されてムカついた
・お風呂上がりに貧血でぶっ倒れた時助けてくれた
・タバコとビールをいつもくれた
・おかんおらん時野菜たっぷりのラーメン作ってくれた
・自分の刺身子どもにパクパク食べられて愚痴るけど嬉しそうだった
・腕相撲が強かった
・アクエリアスをアクアリアスと言っていた
・冬になると窓の結露で子どもの名前を書いていた
など色々なエピソードが出てきた。
30秒という時間はめちゃくちゃ短く、早口でまくし立ててなんとか収めることができ、兄弟LINEに送信した。
次に次男が動画を送信してきた。
1分29秒の動画だった。
こちとら必死に30秒に収めたのにせこっ!と思った。
次男も僕のスタイルに似たようなものだった。
子どもの頃親父にドラえもんの映画を見に連れて行ってもらった日のこと。
次男はドラえもんの下敷きが欲しかったのだが、中々言い出せず下を向きながら帰っていた。
その様子に気づいた親父が引き返してドラえもんの下敷きを買ってくれた。
そして帰りにうどん屋で飯を食って帰ることになった。
親父は次男にかけうどんを奢ってあげた。
家に着き次男はおかんに、下敷きを買ってもらったこととかけうどんを奢ってもらったことを嬉しそうに話した。
それを聞いておかんは「かけうどん!?ww」と笑っていた。
あの頃はなぜおかんが笑っていたのか分からなかったが、大人になり次男は気づいた。
確かにかけうどんはおもしろい。いや、違う。
親父は下敷きを買ってあげたことにより、かけうどんしか奢る金がなかったのだ。
なけなしの金で息子に下敷きとかけうどんを買ってあげる親父、なんて優しいんやというエピソードだった。
喋り方が島田紳助みたいでおもろかった。
完全に僕の動画が薄まった。
これは撮り直そうと考えたが、笑いでは兄弟に勝てないと思った。
そこで感動系で攻めることにした。
親父はとにかく優しいのである。
そしてなぜこんなにも優しいのかというのが分かった日がある。
それは弟と僕の就職祝いで家族でご飯に行った日のことである。
親父が珍しく自分の過去の話をし始めた。
親父の父親は金にルーズで母親に暴力的だった。
そして母親はアルコール中毒で他界した。
父親は葬式にすら出席しなかった。
そのような家庭で育ったからこそ、親父の根底には家族は仲良くありたいという思いがある。
家族で過ごす時間を大切にしたいから、子供にたくさん話しかけるし優しくする。
そういう思いで僕たちを育てていたのだと。
これを聞いた時に僕はとても感動した。
僕たち兄弟が産まれたときには、父方母方共におじいちゃんとおばあちゃんが既に亡くなっていたため、このような話しは全員全く知らなかった。
姉は泣いていた。
この時家族の絆が深く強まったのを感じた。
時を戻そう。
この話をメインに持っていき、最後に「窓の結露で名前書く」という親父あるあるを発表するスタイルの動画を撮り直した。
LINEに送ると、
姉はまた泣いていた。
長男のエピソードは知らないことが多かった。
小さい頃家族旅行でプールに行ったときにコインロッカーに誰かの腕時計が忘れられていた。
親父は長男に「取ってポケット入れとけ」と指示をした。
その腕時計を未だに付けているというエピソードだった。
なんちゅう父親や!ほんで物持ち良すぎな!と思った。
あと印象的だったのが、親父の車に昔バイクでぶつかって傷をつけてしまった。
それをあの時は自分では無いと嘘をついたが、実は自分がしてしまった。すみませんでした。と謝罪していたこと。
エモかったです。
長女のエピソードは忘れました。笑
代わりに長女の旦那さんのエピソードは覚えている。
すき焼きを食べているときに、親父が旦那さんに卵を割ってあげようとした。
しかし親父は卵の中身をゴミ箱に出し、殻をお皿にのせるという天然ボケをかましてしまった。
そしてゴミ箱の卵を手で取り、自分のお皿に入れて食べていたというエピソード。
卵で違うエピソードを思い出した。
僕のおかんは強い。カカア天下である。
ある朝何があったかはわからないが、おかんが親父にブチ切れていた。
朝食を作っていたおかんは、親父の頭で卵を割り目玉焼きを作った。
親父はその目玉焼きを普通に食べていた。
時を戻そう。
親父はサプライズのビデオレターに驚きつつもとても嬉しそうで涙目になっていた。
「ほんまにみんなありがとう」と真面目な顔で言った。
兄弟5人全員が「親父は優しい」と口を揃えて言っていた。
この日はみんなベロベロに酔い、涙あり笑いありの伝説の一日になったのであった。
親父長生きしてくれ。
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そんな親父の優しさが垣間見える動画がこちら💁♂️
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